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2007年5月26日 (土)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(3)

考古学関係

一万年の旅路―ネイティヴ・アメリカンの口承史 Book 一万年の旅路―ネイティヴ・アメリカンの口承史

著者:ポーラ アンダーウッド
販売元:翔泳社
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ジャンルを民族学関係とすべきだったろうか。考古学では、縄文時代早期から前期にかけて、人々は移動性の暮らしから定住生活に移行したと単純に述べられている。それは本当にそうだったのかと疑問をもち、そもそも移動性生活とは、定住とはどんなものか、ということから、移動過程で一箇所に10年、30年ととどまれば、それはどっちか、などと考えだしたときに、本書を参考資料として読んだ。約1万年前、アジアからアメリカ大陸へと渡っていったモンゴロイドの雄大な旅の様相を綴った口承伝承の記録である。人間の行動は単純に語れるものではなく、日本国内のことばかりでなく、モンゴロイド全体の動きとして、もっと大きく捉えるべきだと考えさせられた本。

Book
中世都市鎌倉と死の世界
販売元 高志書院

定価(税込)

   ¥ 2,835

過去何度にもわたる発掘調査で数多くの人骨が出土した鎌倉の由比ガ浜。中世において、そこがどういう場所であったのか、出土した人骨はどういうものだったのか。そして、中世の葬送とはどういうものだったのか。本書は何人もの研究者が、それぞれの観点からこうした課題に取り組んだ論文集。中世、そして鎌倉という都市の様相を知るためには重要な一書。

平安京のニオイ Book 平安京のニオイ

著者:安田 政彦
販売元:吉川弘文館
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考古学は、遺物や遺構といった実物資料を扱う学問である。しかし、それにこだわりすぎて、おかしなことがいろいろと起きている。以前ある古代(平安時代)の遺跡の調査から、かつてそこで祭祀が行われた可能性があるのではと考えたとき、専門家のひとりが「祭祀のような特殊なものとは考えられない」とおっしゃった。古代(先史でも中世でも)において、祭祀は特殊なものではなく、日常であったはずであり、これを特殊としてはなから除外する感覚に残念な思いがしたことがある。このように精神世界に属するようなものは、直接的な遺物としてはなかなか残らず、考古学者は無視する傾向がある。これが、考古学の弱点であり、なんとか考えないと、限界ともなりかねない。ニオイにしても同様で、貝塚の調査をしているとき、「これは当時、すごい臭気だったろうに。どうしてたのかな」などと仲間うちで話していたこともある。人間の生活を考えるには、重要な問題であろう。そうしたなか、今回、文献史学のほうから、古代社会の様相や古文書の記述などを丁寧にあさり、ニオイに関わる研究書が出た。ちゃんとしたひとは、ちゃんと考えるのだな、といった思い。まだこうした研究も基礎の段階だろうが、もっと学問も人間臭いところからやらなくてはということから、将来に希望がもてる楽しい一書である。

動物学関係

魚の形を考える Book 魚の形を考える

著者:松浦 啓一
販売元:東海大学出版会
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この本も、動物の骨からその種を同定していくわたしの仕事には貴重な書。日ごろから同定に悩むコイ科魚類のさまざまな種ごとの咽頭歯を拡大写真により掲載してあり、また、カレイ類の分類や、カサゴ類の形態についての研究論文がまとめられている。専門家からしても、こうした魚類の分類には悩んでいるのだ、ということを教えてくれるものである。

以下、(4)へつづく

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