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2007年6月 7日 (木)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(6)

考古学関係

縄文時代の考古学 9 (9) Book 縄文時代の考古学 9 (9)

販売元:同成社
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『縄文時代の考古学』全12巻の第1回配本。縄文時代に関する研究成果をまとめたもので、こういったシリーズは、以前にも刊行されている。今回のシリーズの基本方針は、本書によれば、1.土器の編年に主流をおいてきた縄文考古学が、当時の社会、文化の復元にどこまで接近できたか、2.これまでの研究方法の見直し、3.縄文時代観の再考といった点に主眼においているということであるそうだ。

こうした本は、縄文時代のすべてを教えてくれるものではない。何人もの専門家が、テーマごとに自分の研究成果を発表しているといった色合いが強く、研究論文集と考えたほうがいいかもしれない。読者は記載されている内容をそのまま受け入れるのではなく、他のさまざまな研究論文や概説書などにも目を通して、それぞれの論説を自分なりに判断していく必要があるだろう。その点、本書はやはり専門家向けで、初心者がいきなり読んでも難しいだけだろう。

今回配本のテーマは、葬制。縄文時代の各地の埋葬方法や時代変化について論じられている。埋葬に関しては、主体となる遺体(人骨)の出土が限られてしまうため、人骨があっ確実に埋葬遺構と断定できる資料も限られてしまうという困難さがある。わたしにしても、学生時代から頭の片隅にありつづけているテーマであるが、これを期に、再度勉強し直してみるのもいいかもしれない。それにしても、値のはる本なので、全巻そろえるのはきついかも。

環境考古学マニュアル Book 環境考古学マニュアル

販売元:同成社
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ひとの生活とか、社会とかは、自然条件に左右されることが大きい。当時の気候はどうだったか、植物相は、動物相は、さらには年代をどう判定するか、それを知ることは、考古学には大事な要素である。しかし、文科系の考古学者はこうした自然科学系のことが苦手なのか、長年、大事だとはわかっていても、一部のひとを除いて、こうしたことを棚上げしてきてしまった感がある。そこで本書は、そうしたひとたちのために、古環境を知るための土壌資料、植物資料、動物資料、人骨の取り扱い方、分析方法などを解説したものとなっている。遺跡の発掘調査・報告というと、遺構の記載や土器などの分析は当然ながら、自然科学系の資料分析はよほど予算がないとほったらかされることが多い。調査担当者は、もっとこういう本も呼んで、意識を高くもってもらいたいと思う今日、昨日、何年もの思いである。

環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争 Book 環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争

著者:松井 章
販売元:岩波書店
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「環境考古学」について、著者の松井氏が自分の経験をもとに、わかりやすく一般向けに書かれた本。古代のトイレとか、農耕についてとか、ブタ、イヌ、ウシ、ウマ、人骨に関するエピソード集である。「環境考古学」とはなにをする学問か、そしてどんな分野でも、専門家もひとつひとつの体験から学んでいくということを教えてくれる書。

Book
環境考古学事始―日本列島2万年 (1980年)
著者   安田 喜憲
販売元   日本放送出版協会
定価(税込)        ¥ 788

「環境考古学」という用語は、この安田先生の仕事から広がったのではないだろうか。植物資料から先史時代からの古環境を時代ごとに復元しようと試みられている本で、想像される復元図も掲載されている。もうだいぶ前に刊行されたものだが、その後の研究者で、こうした具体的な復元図を描こうとするものは、ほとんどいないのではないだろうか。現在でもおおいに参考にさせていただいている本である。ちゃんとあとを継がなくては。

以下、(7)へつづく

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