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2007年6月13日 (水)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(8)

考古学関係

Book
化石の知識 (貝塚の貝)
著者     江坂 輝弥
販売元     東京美術
定価(税込)      ¥ 1,029

これまた古い本になってしまった。遺跡から出土する貝類を種類ごとに解説したもので、最近の江戸遺跡でのデータも加えてそろそろ改訂版が欲しいところだが、それは後進のわれわれの死後だろうな。

遺跡から出土する動物の骨に関しては、以前紹介した金子浩昌先生の『貝塚の獣骨の知識』が東京美術の考古学シリーズにあるが、遺跡出土の動物遺体全般に関して、先生はその研究史を以下のものにまとめておられる。

『国立歴史上民俗博物館研究報告 第42集』掲載の

「日本考古学における動物遺体研究史-動物との関わりにみる日本列島の文化の形成-」

しかし、この書物は売り切れとなっていて、古書店にもなかなか出てこないようである。興味あるかたは、図書館で探して必要部分だけのコピーでも持っているべき論文であろう。

貝類化石といえば、遺跡出土ではなく、自然貝層(かつて棲息していた貝類の殻が自然に堆積したもの)の貝化石を調査し、その貝類が生きていた当時の海岸線や環境を復元しようとする研究もある。遺跡から出土する貝類は、食料資源などのために人間が棲息地から選択してもってきたものだが、自然貝層のものは、自然そのものである。そのため、古環境を研究するには、最高の資料となる。こうした研究をまとめたものに、やはり東京美術から以下の本が出ている。

Book
先史時代の自然環境―縄文時代の自然史
著者   松島 義章,前田 保夫
販売元      東京美術
定価(税込)

     ¥ 1,029

松島氏は一貫してこうした研究をしてこられ、専門雑誌などへの研究発表も多いが、最近、また一書を上梓された。

貝が語る縄文海進―南関東、+2℃の世界
Book
貝が語る縄文海進―南関東、+2℃の世界
著者     松島 義章
販売元     有隣堂
定価(税込)    ¥ 1,050

これは対象地域を主として南関東とし、これまでに専門雑誌などに発表された論文などをまとめた形になっている。かつて図書館に通ってコピーして集めたものがこの一冊にあるといった感じで、もっと早くこうした本が出ていれば、と思ってしまった。

出土遺物の応急処置マニュアル Book 出土遺物の応急処置マニュアル

著者:ディビッド ワトキンスン,バージニア ニール
販売元:柏書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

遺跡調査の現場では、木材とか骨とかが出土した場合、どうしたらいいかわからない調査員が多いようだ。湿地遺跡から出土したような骨なら、そのまま湿った(水につけた)状態にしておかなければ、乾燥してしまうと形を保てなくなったりするが、乾燥した状態で出土した骨を湿らせてしまうと、ボロボロの骨粉に化してしまったりする。その点がわからない調査員は、骨ならなんでもかんでも水につけてしまい、注意してもきいてくれないことがある。

どうすればいいか問い合わせてくれればいいほうで、保存のためには漆器などはアクノル樹脂のボンドを使うのがいいそうだが、骨などは、わたしなどは昔から、急場の現場のことでもあり、どこでも手に入る水溶性の木工用ボンドを使うことが多い。そのことを伝えても、昨今の現場の調査員さんは、もっと専門的な薬剤などのほうが科学的な感じがしていいらしく、どうも反応が鈍い。好きにすれば、というところだが、結局、なにも保存処理などせずに現場から持ち帰り、その後崩れたりカビがはえたりといった騒ぎになっている。どうなっているんだろうと思うのだが。一応専門的なことが知りたければ、こうした本を備えておけばいい。ただ、内容は、なかなか急場で用意できないものを使ったりしているので、博物館などの施設でもなければ、その通りにできることはないだろう。

ああ、ぶつくさ、ぶつくさ。

以下、(9)へつづく

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