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2007年6月21日 (木)

鎌倉由比ヶ浜漂着馬歯について

先日、調べごとがあって横浜の根岸にある「馬の博物館」に伺った際、なにくれと便宜をはからってくださった学芸員のかたから、「由比ヶ浜でウマの歯を拾ったのですが、いつごろのものですか」という問い合わせをいただくのだけど、という話をおききしました。

そこで、わたしの立場からひとこと。

日本のウマは江戸時代までは、在来馬という中・小型馬でありまして、知っているひとは知っていることですが、時代劇で暴れん坊将軍がサラブレッドに乗っているようなことはあり得ませんでした。

鎌倉の由比ヶ浜や材木座海岸はよく馬歯が拾えるところで、わたしも集めてサイズを調べてみましたが、いずれもが遺跡から出土するような在来馬に等しい大きさでした。付近にウマの遺体が出土する中世遺跡が広がっていることもあり、こうしたことからすると、ここで拾える馬歯も、中世遺跡から流出した可能性の高いものではないかと思われます。

ただ、漂着物では考古資料にはなり得ず、時代も特定することはできません。サイズが在来馬に相当するなら、せいぜい近世(江戸)以前と考えておくべきでしょう。

また、この海岸からは数は少ないながら、大型のウマの骨も拾えたりするので、そうしたものは近代以降ウマを大型化させていった後のもの、あるいは現代のサラブレッドのような大型馬のものと考えられるため、ここで拾えるすべてのウマが近世以前のものとも断定できません。まずは、拾った歯がウマの歯列のうちのどの歯かを同定し、サイズを調べてみることが肝要かと思います。

さらに、由比ヶ浜、材木座で拾えるものは黒ずんでいて古くみえますが、鎌倉の水質は鉄分が多いといわれており、黒ずみもそうしたものの影響を受けているのではないかと思います。最近のものと思われる鳥骨なども、かなり黒くなっていたりします。もっとも、こうしたものは乾燥すると黒ずみが消えたりしますが。

以上、ざっとですが、鎌倉採集の馬歯についての情報を求めているかたのために、ここに簡単に述べさせてもらいました。

実は、現在、近々ウマの歯や骨についての本を出そうとあくせく原稿を作成しているところで、そのなかで馬歯のサイズについてもふれるつもりでいるので、刊行なったあかつきには、参考にしていただけたらと思います。

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