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2007年6月26日 (火)

遺跡出土動物遺体の分析について

遺跡から動物の歯や骨が出土すると、動物遺体(動物遺存体)ということで、発掘調査報告書にその分析結果が掲載されるが、最近どうも目立って気になることがある。

それは、まず、骨(資料)からその種を同定するにあたり、よく同定対象部位と同定対象外部位というものを設定していることである。

たしかに、魚類の鰭の骨や鰓骨などは、そこから種を特定するのは困難であり、限られた期間のなかでの分析作業では、はじめからはずしてかかったりはする。しかし、はなっからそういう規定があるかのように、資料を同定対象、対象外などと定めたりはしない。

遺跡から出土するものは、出土位置や状態が明確であれば、骨片ひとかけらでも貴重な資料である。分析にあたるもののこころがまえとしては、どんなに同定困難なものでも、できる限りの努力でもって同定・分析にあたるべきではないだろうか。そして普段から、おのが同定能力の向上を目指して観察なり研究なりをしておくべきではないだろうか。それが、プロというものではないだろうか。

同定対象外とは、誰がいつ定めた規格なのだろうか。それは、ただ作業を簡略化するための、いいわけに過ぎないのではないだろうか。

そんなものを定めず、すべての資料に向かって時間があるかぎりの同定、分析をし、刊行期限の定められた報告書においては、ここまではわかったが、これこれのものはまだ未同定におわったと、正直に記載するのが科学者としての良心ではなかろうか。昨今、そんな表記があってはみっともない、手ぬかりがあったようにみられてしまう、などといった見栄が先行しているように感じる。

また、出土した骨のサイズを計測したりしていても、その計測値を報告書に記載しないものを目にすることも多い。報告書は資料の基礎データを公開するものであり、せっかく計測したのなら、その値を載せるべきだと思う。

発掘調査報告書では、分析者、執筆者の実績づくりは二の次だろう。

ついでながら、昨今のこうした報告書は、考古学をやっている自分たちがわかればいい、というようなつくりになり過ぎていないだろうか。興味、関心をもってくれた市民ひとりひとりにわかるよう、文章にしても図にしても、工夫すべきではないだろうか。

なんか、いいだしたら止まらなくなりそうになってきた。

つづきは機会があればまた。いまは、このへんにしときましょう。

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