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2007年7月

2007年7月30日 (月)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(19)

動物学関係

犬学

学術分野で、「犬学」というのが確立しているのかどうか、よくわからない。でも、遺跡から出土するイヌのことを調べるにも、現在生きているイヌたちのことを知るにも、この手の本はしょっちゅぅ見るため、もう自分の本はぼろぼろになってしまった。そんななかから、主なものを紹介したい。

イラストでみる犬学 Book イラストでみる犬学

著者:林 良博
販売元:講談社
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きれいなカラーイラストで、イヌの起源・進化・分類・遺伝、体の構造と機能、行動学、健康・病気、その他動物に関する法律など、さまざまなことが詳しく記載されているありがたい本。常にそばに置いておきたいもの。

イヌ―このふしぎな動物 (1983年)
著者 今泉 吉典
販売元 教育社

これは絵本的に書かれている部分もあり、こどもにも読めるように記述されている。「こどもでも」といってもバカにするなかれ。内容はかなり専門的部分にまで踏み込んでいる。もう古い本になってしまったので、もうなかなか書店には置いてないだろう。

図説犬学大辞典―犬の形態と用語解説
著者 ハロルド R.スパイラー,メアリー・デビッドソン,ペギー・デビッドソン,大野 淳一
販売元   誠文堂新光社
定価(税込)    ¥ 4,410

A to Z で、イヌのすべてを項目ごとに解説してくれている。専門的だが参考にさせてもらうことが多く、わたしの本はもうぼろぼろになってしまった。

イヌの動物学 Book イヌの動物学

著者:猪熊 寿
販売元:東京大学出版会
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これは比較的最近出たアニマル・サイエンス・シリーズの一冊で、手ごろなサイズでイヌの社会・行動・人とのかかわりについてまとめられている。手ごろなサイズなのに、ちと高い。

Book 犬の行動と心理

著者:平岩 米吉
販売元:築地書館
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Book 犬の生態

著者:平岩 米吉
販売元:築地書館
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Book 犬と狼

著者:平岩 米吉
販売元:築地書館
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イヌの研究といえば、平岩先生。上記した本はその代表作で、ご自分で飼育されて観察・研究されたことをまとめられている。こうした本はほかにも何冊も書かれているが、もう古い本なのにもかかわらず、いまでも書店でまま見かける。不朽の研究書。

なお、平岩先生自身のことも知りたいひとには、つぎの本が出ている。名をなす研究者とは、みんな、周囲から「どうかしている」と見られる一面をもっている。逆にいえば「どうかしている」ことを完全否定するような社会からは、こういう巨人は現れないのだろうな。

愛犬王 平岩米吉伝
著者 片野 ゆか
販売元     小学館
定価(税込)   ¥ 1,680

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2007年7月27日 (金)

狛パグ

         Photo_25

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2007年7月24日 (火)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(18)

考古学関係

考古学は、「もの」を相手にする学問であり、そのため、出土遺物に関する研究は、年々細かく深くなっていく。しかしその反面、遺物をみるだけで終わっている傾向も最近強くなっている気がする。珍しい土器だ、貴重品だ、200万円はする壺だなど、それだけで「わあ、きゃあ」騒ぎ、「きみらは骨董屋か」といいたくなるときもある。遺物や遺構をひとつの資料、歴史を分析する要素のひとつとして当時の社会や人をみることが、この学問の役割なのではなかったか。

その点、ちゃんとやろうとするひとは、ちゃんとやろうとするのだ。今回は、そういう面からの本を何冊か紹介したい。

伝説と史実のはざま―郷土史と考古学 Book 伝説と史実のはざま―郷土史と考古学

著者:比田井 克仁
販売元:雄山閣
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これは、東京中野区を舞台にした郷土伝承を考古学的情報をもちいて検証していこうとするもの。歴史というのは、どの時代にしても、こうした地域ごとにみていく視点が大切だと考えていたので、本当に歴史を読み解こうとしているひとの本として、嬉しくも先々が楽しみな一書である。

弥生時代のヒトの移動―相模湾から考える
Book
弥生時代のヒトの移動―相模湾から考える
販売元 六一書房
定価(税込)   ¥ 2,940

これも、弥生土器などの遺物をひとつの要素として、当時の人の動きを考えようとするもの。

鶴見川流域の考古学―最古の縄文土器やなぞの中世城館にいどむ Book 鶴見川流域の考古学―最古の縄文土器やなぞの中世城館にいどむ

著者:坂本 彰
販売元:百水社
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鶴見川流域という地域を限定して、その地域の歴史を考古学的情報でみていこうとするもの。旧石器から近・現代の戦争遺跡まで、イラストをまじえ、一般のひとにもわかりやすく書かれている。

鎌倉街道伝説 10〜100歳に贈る感動と発見の「えっ! 本」シリーズ Book 鎌倉街道伝説 10〜100歳に贈る感動と発見の「えっ! 本」シリーズ

著者:宮田 太郎
販売元:ネット武蔵野
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これは鎌倉街道にこだわっている著者が、懸命に自分で調べ上げたことをまとめたもの。専門の考古学者よりも、こうした地道な研究者の努力が、大きな歴史解明をなしとげたりするのだ。写真やイラストが多く、この街道沿いを活動することの多い自分としても、目を開かせてくれる本。

こうした地域ごとの歴史を考古学的に調べてまとめた本というのは、まだまだある。しかし、なかなか書店に並ぶことが少なく、郷土資料館とか、その地域の小さな書店に何気なく置いてあったりする。こまめに探していると、いい本にも出会えるでしょう。

(19)へつづく

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2007年7月21日 (土)

イヌもネコもいない日々

わたしの思い出のイヌ・ネコたちの話 つづき

グルとラックが死んだあと、わたしは都内の公団住宅で独立生活をすることになった。そこは、小学生から中学生にかけて住んでいた場所でもあり、人生二度目の身近にイヌもネコもいない暮らしとなった。この間、わたしは会社勤めのかたわら、漫画家を目指していた。もう、20年以上前になるが、まだ昨日のことのように思える。

公団住宅だから、イヌ・ネコは飼育禁止だ。当初ネコは禁止されてなかったそうだが、飼い主の放任・無責任飼育が目につき、ネコも禁止になったらしい。

鳥や飼育カゴで飼えるような小動物ならいいとのこと。

近くに人間以外のいきものがいないと寂しくてならず、そこでわたしは鳥を飼うことにした。

ペリコ(ワタボウシミドリインコ)のつがい。

しばらくして、オカメインコ。そして、ジュウシマツ。セキセイインコ。友人からもらったキンカチョウ。

カゴがどんどんふえていく。

鳥もかわいい。でも、しばらくたつと、哺乳類のニオイが欲しくてならなくなった。

ハムスターのつがいを飼うことにした。まもなくこどもが6匹生まれ、これ以上増やせないと、オス・メで別カゴにした。

気がつくと、そこにシマリスの夫婦が加わった。こどもが1匹生まれ、またケージがふえた。

つぎは、哺乳類のぬくもりを肌で感じたくなった。抱ける動物…。

ウサギを飼いはじめた。掃除のためケージから出すと、電話のコードをかじ切って、そのときしばらくわたしは音信不通になった。

こうして、わたしの部屋の一室は、動物部屋となった。

このほかにも、都心のため周囲に緑がなく、部屋に観葉植物などを置きまくった。やがて池が欲しくなり、部屋の真ん中にプラスティクの池を置いたが、この水がこぼれ、ふやけてしまった畳からエノキダケのようなキノコがはえた。面白かったが、さすがにそれはすぐにかたづけてしまった。

海水魚の飼育にも挑戦したが、これは管理がたいへんで、結局うまくいかなかった。

わたしの部屋の窓は表通りに面していたが、夜、部屋の明かりがついたところを外から見ると、ジャングルに見えたらしい。知らないうちに、わたしは他の居住者のあいだで有名になっていた。管理人さんの目が、厳しくなった。

そんなこんなの日々を過ごしていたとき、あの子がやってきた。

ネコの「すみれ」

公団だから、ネコは飼えない。

そう言うと、そのネコをつれて来たひとは、部屋をみまわし、

「いまさら、なにをいうか」

といった。

もっともだった。そして、わたしと多くの小動物たちと「すみれ」との暮らしが始まった。緑に覆われた、都心の公団住宅の一室で。

精神的に不安定になっていたのかもしれない。そんなわたしを、「すみれ」が救ってくれた。

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2007年7月19日 (木)

バラ地蔵

          Barajizou_2   

             地蔵は、鎌倉市本覚寺の「しあわせ地蔵」

『今々週のお地蔵さま』というタイトルでメールマガジンでやりはじめた写真コラージュですが、定期的に作品を作るのがつらくなってしまったので、こっちでちまちまとやっていくことにしました。

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2007年7月17日 (火)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(17)

画集・図録など

ちょっと前のこと、ある発掘調査員が、いつのまにそんな調査をしていたのか、「調査したところの報告書ができたから」といって、厚めの一冊を差し出してきた。発掘調査地点は、東京墨田区の「被服廠跡地」。「ああ、この場所は」というと、相手は「なんのこと?」と応じた。その調査員は直接現場調査をしたわけではなく、指導的立場にあるひとだったが、なにも知らなかったらしい。びっくりしてしまった。歴史には、忘れてはならないとされるものがある。とはいえ、どんなことでも、時間とともに忘れられてしまうこともあるだろう。しかしながら、失われゆく歴史を読み解く考古学に従事する調査員が、知らなかったではすまされないこともある。

この調査地点は、関東大震災のとき、4万人近い犠牲者を出した場所なのだ。その場所を調査しながら、知らなかったではすまないだろう。(さすがに報告書の中の調査地点についての歴史的概要では、墨田区の教育委員会のかたが書かれたのか、ほかのどなたかなのか、関東大震災についても触れてあった。このときの調査では大震災に関連するものはなにも検出されなかったそうだが、現場担当調査員の意識がなくては、近現代のものなど攪乱ということで、早々に重機で一気に削られてしまう可能性もある。調査者が注意しなければならない点である。)

ちょうど夏休みが近づいてきた。関東大震災もそうだが、どうしてもこの時期になると、太平洋戦争のとを耳にする機会が多くなる。とくに原爆被爆のことは、決して忘れてはならない歴史のひとつである。これを忘れるひとはそういないだろうが。

そこで、今回は、こうした忘れてはならない歴史をより具体的に知る、感じとってもらうためにだされた画集・図録のいくつかを並べてみた。

図説 関東大震災 Book 図説 関東大震災

販売元:河出書房新社
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図説とあるが、イラストではなく、当時の写真満載で構成されている。

写真で見る関東大震災 Book 写真で見る関東大震災

販売元:筑摩書房
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これは、タイトル通りの本。文庫サイズで手ごろな値段でもある。

あの日を忘れない―描かれた東京大空襲 Book あの日を忘れない―描かれた東京大空襲

著者:すみだ郷土文化資料館
販売元:柏書房
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忘れてはならない歴史としては、東京大空襲もそう。まだ、歴史とはいえないかも。体験者の絵で構成されているが、写真よりも悲惨さが生々しく伝わってくる。一枚一枚の絵が、胸に痛い。

Book
母と子でみる東京大空襲
販売元   草土文化
定価(税込)   ¥ 1,260

写真で構成されていて、文章にルビがふってあって、こどもにも読めるものになっている。こどもには衝撃的な写真もあるが、衝撃を受けることも「学び」となるだろう。編者の早乙女勝元氏には、岩波新書で『東京大空襲』という著書もあり、これはつらい聞き取り調査による執筆であり、いまや基本文献のひとつだろう。

ただ、空襲を受けたのは、東京ばかりではない。ほぼ日本全国、あっちでもこっちでも爆撃を受けている。そのことを見落としてはならない。

原爆写真 ノーモア ヒロシマ・ナガサキ 【日英2カ国語表記】 Book 原爆写真 ノーモア ヒロシマ・ナガサキ 【日英2カ国語表記】

販売元:日本図書センター
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これ写真とイラストで構成されている。わたしがこどもの頃、原爆投下25年目で出された『朝日グラフ』の特集記事でみた写真はもっとショッキングなものがあり、いまだに忘れられないものもあった。その点らすると、本書の写真は、まだ優しいものかもしれない。

Book 図録原爆の絵―ヒロシマを伝える

販売元:岩波書店
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これは体験者の描かれた画集。これが本当にあったことなのかと思うほどだが、本当にあったのだ。こんなこと、二度と繰り返してはならないとつくづく考えさせられる。

Book
新版 原爆の図
著者   丸木 位里,丸木 俊
販売元   原爆の図丸木美術館
定価(税込)   ¥ 3,990

これ有名な丸木夫妻が被爆体験を、やや観念的にまで進めて描きつづけていらっしゃる作品集。埼玉県にある丸木美術館は最近経営的に苦しんでいるときく。こういう仕事を潰してはならない。できるだけ多くのひとに行って欲しいし、絵もみて欲しい。ちなみに、丸木氏のお母様の絵も、一味ちがった画風・主題で、味わいがある。

ちなみに、昨今「原爆投下はしょうがない」といった大臣がいたが、大人社会の大義名分(いいわけ)なんぞ、そう簡単に信じられない。原爆投下に関しては、以下のような研究書もある。これを信じるかどうかは個人個人だろうが、偏らない冷静な判断をくだすには、とにかくいろんな意見をきき、中道の視点をもつことが必要だろう。

原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀 Book 原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀

著者:鳥居 民
販売元:草思社
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さらに、以下の本は、関東大震災の被災の陰に隠れてしまっている感のある事件。都合のわるいことに蓋をしてしまわないよう、こういった本にも目を通すようにしている。

関東大震災と朝鮮人虐殺―80年後の徹底検証 Book 関東大震災と朝鮮人虐殺―80年後の徹底検証

著者:山岸 秀
販売元:早稲田出版
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(18)へつづく

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2007年7月14日 (土)

パグ絵 蕭白より「だるまパグ」

Photo_38 伊藤若冲の絵はすごいと思って、近場で展示があれば見にいったりしているうちに、曽我蕭白にとりつかれてしまった。

じっと見ていると、蕭白の絵はパグだらけのような気がして、今回は蕭白の墨絵「達磨図」をまねたうえ、パグを配してみた。

失敗だった。

そもそも、蕭白の筆の勢いなどはまねようもない。

おかげで、パグも困った顔になってしまった。

どうも、すみません。

せっかく、ブログ『ひめとはなの日記』さんでわたしのパグ絵に好印象をもっていただけたようなのに。

また、がんばります。

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2007年7月13日 (金)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(16)

動物考古学関係

骨からその動物の種を同定するには、実物標本が手元にあるのが一番いい。しかし、魚類以外の動物の骨格標本をそろえるのは、個人レベルではなかなか難しい。そこで、標本のないものは、獣医解剖学などの図版などをみて、遺跡出土資料の骨と比較することになる。とはいえ、これも簡単にはいかない。標本があればものの数分で判明することが、図版相手だと、そしてとくに遺跡出土資料が破片だったりすると(ほとんどがそうである)何時間も迷ってうなることになる。

今回はそうした図版資料として、よく利用させていただいている本を紹介したい。

Book
馬の解剖アトラス
著者 Klaus‐Dieter Budras,サビーネ・レック, 橋本 善春
販売元   チクサン出版社
定価(税込)   ¥ 15,750

神経系統や筋肉など、骨格部分以外の記述が多いが、ウマの基本骨格を見るにはいい。ただ、脊椎骨の図版にもう少し詳しいのが欲しかった。

Book 牛の解剖アトラス

著者:Klaus‐Dieter Budras,Robert E.Habel
販売元:チクサン出版社
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上記の本のウシ版。やはり脊椎骨の個別詳細図があれば。

Book 新イヌとネコの臨床解剖カラーアトラス

販売元:チクサン出版社
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これは写真で構成されたもの。イヌとネコは骨格標本も所蔵してあるのだが、大事に保管してあるため、ちょっと調べるには、だいたいこの本を使っている。

『動物考古学』

これは学術専門誌。動物考古学研究会の会誌である。専門的研究論文のほか、2002年の19号より「哺乳類動物骨格図集」を連載している。

19号にイノシシ、シカ、イヌ、タヌキ、キツネ、アナグマ、カワウソ、ノウサギ、ムササビ、ニホンザルの各骨

20号にトド、アシカ、イルカ類の各骨および、19号掲載種の追加

1号とんで22号にアザラシ類、リクガメ、ウミガメ類各骨

23号にウシ、ウマ各骨

24号(現在最新号)にクマ類、ネコ、テン各骨

というラインナップになっている。ただ、これは図版が並ぶのみで、各骨についての詳しい記述などはない。

まとまった本としては、こうしたものだが、骨を見分けるためには、来る日も来る日も、実際の骨を飽くことなく見続けることだろう。手にした資料がある図版とそっくりでも、見分けるポイントをはずしていると大間違いになることが多い。このポイントをはずさないようにするには、実物の骨を見続けるしかないと思う。

ちなみに、骨格標本欲しさに生きている動物に手をかけるようなことは、学問のためであっても認め難い。わが師もそのまた師(直良信夫先生)も骨格標本は学術資料として収集されていたが、なにかの縁で生きた動物を入手した場合は、生かせる限りは生かすとがんばって飼育されていたようだ。飼育技術があると、対象動物は長生きし、情もうつり、こうなるともう家族である。

学問には、愛が必要である。 

(17)へつづく

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2007年7月11日 (水)

リハビリ中

Photo_37 鷲羽涼を描くためのリハビリ。

一歩ずつ。

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2007年7月 9日 (月)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(15)

考古学・歴史学関係

歴史をテーマに絵を描こうとすると、当時の人々の身分による服装、髪形、履物など小道具、町並みなどの景観といったさまざまなことが問題になる。テレビの時代劇でも時代考証の専門家がついているようだが、実際に作品をみていると、器やら言葉づかいなど、厳密なものではなく、あえて現代ものを取り入れているものもある。絵もあまりこだわりすぎては描けなくなってしまうのだが、一応いろいろと調べるわけである。そんなとき役立つのが、当時の絵画資料なのだが、これもいくらあっても足りない。使えそうな本をみると集めてまうわけだが、そんななかから、今回は江戸ものを数冊紹介しよう。

ビジュアル・ワイド江戸時代館 Book ビジュアル・ワイド江戸時代館

著者:竹内 誠
販売元:小学館
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江戸時代の社会、生活、風俗、景観などを集大成したオールカラーの図鑑本。高価で分厚い本だが、項目数が多いため、より詳しく知りたいひとには各項目にもっと深さが欲しくなるかも。その場合は、各項目における専門書を探すことになる。

ビジュアルNippon 江戸時代 Book ビジュアルNippon 江戸時代

販売元:小学館
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上記の本に似ていて値段も手ごろだが、そのダイジェスト版というわけではなく、こっちは当時の絵画資料の掲載に主体をおいたもの。これを先に買ってしまうと、上記の本も欲しくなるかも。

大江戸ものしり図鑑―ひと目で八百八町の暮らしがわかる Book 大江戸ものしり図鑑―ひと目で八百八町の暮らしがわかる

著者:花咲 一男
販売元:主婦と生活社
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これは、風俗的なことを調べるにはいい。絵画資料も豊富に入れてあるが、版の大きさのためがんばっているにしても各絵が小さめで、モノクロ主体。江戸を知るための資料としては、やはりもっておくべき本だろう。

図説江戸〈2〉大名と旗本の暮らし
Book
図説江戸〈2〉大名と旗本の暮らし
著者 平井 聖
販売元 学習研究社
定価(税込)    ¥ 1,680

オールカラーで大名と旗本の暮らしをイラストで説明したもの。絵を描くにも役立つ資料のひとつ。

図説江戸〈3〉町屋と町人の暮らし
Book
図説江戸〈3〉町屋と町人の暮らし
著者 平井 聖
販売元 学習研究社
定価(税込)    ¥ 1,680

上記の本におけるシリーズの1冊。これは町人の暮らしにスポットをあてている。このシリーズには将軍の暮らしにスポットをあてたものもある。

食器などの小道具類を絵に描く場合は、個々の器物についてまとめた本をみるのがいいが、こうした本についても、いずれ紹介したいと思う。

(16)へつづく

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2007年7月 6日 (金)

グルを失った日

グルと過ごした日は、もう20数年前にもなる。

わたしは社会人となり、仕事やらその後の勉強会やらで、おまけに会社まで片道2時間もかかることもあって、毎晩帰りが遅くなっていた。

会社の近くに部屋を借りたかったけど、ラックとグルが待っていてくれることを考えると、とても離れて暮すことはできなかった。わたしは毎日、家族よりもかれらのもとに帰っていた。

Photo_36 ある日曜日、珍しく写真嫌いのグルが、庭の花の写真を撮っていたわたしの前にきて、さも「どうぞ」というようにポーズをとった。

「珍しいな」といって写真を撮ると、グルはさっさとその場を去っていった。なにか妙な感じはしたのだが、さして気にもとめなかった。

一週間後の日曜日の朝、夏だったけど冷たい雨がしとしとと降るなか、庭にいたグルが庭木の下に穴を掘り、そこでまるまっているのが目に入った。

なんでそんなとこにいるのかな、とは思ったが、その日は約束があって外出しなくてはならず、わたしはそのまま出かけていった。

夜、帰宅すると、グルはふつうに食事をし、とくに変わったようすもなく、わたしは朝のちょっとした疑問も忘れてしまった。

翌月曜日の朝、グルはまた、穴でまるまっていた。暑いからそうしてるのかな、でも…、などと気を残しつつ、わたしはいつものように出社した。

その夜、帰宅すると、玄関前に並ぶ敷石の上にダンボールの箱が置いてあった。

中をのぞくと、そこには、這いずるようなかっこうで冷たくなっているグルの姿があった。

家族に話をきくと。

昼間、グルはよろよろと家のまわりを歩きだしたのだそうだ。どうも、目が見えない感じだったらしく、歩きながらニャアニャア虚空に向かって鳴く姿は、なにかを探しているような…。

そして夕暮れ、母が隣人と玄関前で立ち話をしていると、グルは尽きようとする力を振り絞るように這い出てきて、敷石のところで、また通りに向かって何度も鳴く。その方向は、わたしが帰ってくる方向、その時間は、わたしが学生時代に帰宅していた時間、その場所は、帰宅したわたしが出迎えるグルとかわいがっていた場所。

隣人がいった。「あれは、お宅の息子さんを呼んでいるのよ。息子さんの姿を探しているのよ。いまにも死にそうなのに、一目会うまではって」

結局、わたしは間に合わなかった。グルは隣人と母が手を出しかねて見守るなか、敷石の上で息絶えた。その姿に、ネコ嫌いの母も、さすがにグルを哀れんで、敷石の上でグルがわたしを待っている状態のままにしておいてくれたのだ。

グルの死因はよくわからない。珍しく写真を撮らせてくれた日の前後、ふと彼女の腕にふたつの穴があいていた。牙がくいこんだような大きさだった。傷はもう治癒しかけていたが、思い当たることといえば、それしかない。なにかに感染し、命を失ったのではないだろうか。高熱があったから、少しでも涼しい穴を掘って入りこんでいたのではないだろうか。

その夜、わたしはただ呆然としていた。そして翌朝、目が覚めると同時に、グルとの思い出が頭のなかにあふれ出てきた。涙がとまらず、わたしはこどものように泣きじゃくった。ネコの死で、おとなになって、あんなに泣いたのは初めてだった。いまでもつらい。

わたしは、会社のことなど忘れた。気分が少し落ち着いた午後になって出社したが、会社にはなんの連絡もしていなかった。

当然、上司は怒った。理由をきかれて、「ネコが死にまして」とだけいうと、即刻「もういい」と追い払われた。あの日、わたしは社会人失格となったのだろう。

でも、立派な社会人だのなんだのといった評価なんかよりも、必死にわたしを求めてくれていたグルのほうが、よっぽど大事だった。

その後ほどなく、以前書いたように、ラックをも失った。そして、わたしは家を出た。

イヌやネコの飼えない、都内の公団住宅の一室へ。

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2007年7月 5日 (木)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(14)

考古学関係

Book 八百八町の考古学―シンポジウム 江戸を掘る

著者:大塚 初重,坂詰 秀一,寺島 孝一,古泉 弘,鈴木 公雄,豊田 有恒
販売元:山川出版社
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これは、江戸考古学事始という項目があるとおり、江戸時代が考古学の俎上にのったころからの解説や、まだ比較的初期段階での専門家たちによるシンポジウムの様子が収録されている。江戸考古学を勉強するには、最初に読むべき本だったかも。

地下からあらわれた江戸 Book 地下からあらわれた江戸

著者:古泉 弘
販売元:教育出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これは、江戸遺跡発掘の成果から、発掘調査について、厨について、酒について、たばこについて、ごみについて、宴について、厠について、あかりについて、と項目を分けて解説している。江戸といっても、年配のものにはまだ記憶にあるようなものもあり、それぞれの遺物に懐かしさも感じられる。キセルや下駄の分類など、わたしの学生のころの考古学では考えられなかった。

埋もれた江戸―東大の地下の大名屋敷
Book
埋もれた江戸―東大の地下の大名屋敷
著者         藤本 強
販売元         平凡社
定価(税込)     ¥ 2,650

東大といえば、かつての加賀藩前田家およびその支藩のあった場所として有名である。本書はその発掘調査のとてつもなく苦労した経過と、成果をまとめたものである。とくに発掘時の苦労話は他の遺跡調査にも通じることであり、身につまされる思いすらした。

Book 江戸の穴

著者:古泉 弘
販売元:柏書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これは、江戸遺跡ではよく登場してくる地下室(ちかむろ)・穴蔵に限定して、発掘調査事例をもとにして形態や機能・歴史などをまとめたもの。地域によっては、現代でも冷蔵庫がわりに使われているという地下室が、都内で発見されたときは、誰もその正体に気づかなかった話などは興味深い。つい最近の歴史も、忘れられることは早いものなのだな、と思う。

災害都市江戸と地下室 Book 災害都市江戸と地下室

著者:小沢 詠美子
販売元:吉川弘文館
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これは、地下室・穴蔵というものを、江戸に多かった火災との関連でよみといたもの。地下室は昭和になっても残されている家などがあり、戦時中の防空壕にも使われたりしたようだから、防災面としての機能を考えるとき、調査担当者は江戸にばかり目を向けていてはいけないのかもしれない。

(15)へつづく

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2007年7月 2日 (月)

わたしの特別な書棚から-専門書紹介-(13)

考古学関係

わたしの学生時代、江戸時代は考古学の範囲外にあった。それは攪乱などと呼ばれ、要するに後世に掘り荒らされた跡ということで調査・研究の俎上にのせられることがなかったのである。

しかし、現在では都内を中心に、江戸時代の遺跡も考古学の対象として調査・研究が進められている。近代に関してはまだ攪乱扱いされることが多いが、新橋駅などの調査から昨今注目されつつあり、太平洋戦争時の戦争遺跡に関しては、間の時代をとばして調査がすすめられている。

考古学とは、なにも古い時代ばかりを扱うわけではなく、極端にいえば、今朝の朝ごはんの残飯まで調査してもおかしくない学問である。

ただ、江戸遺跡の調査となると、遺構の規模が大きいこと、昨今は調査期間厳守という制約があることなどから、発掘調査がわれわれ古い時代をやってきたものにとって当たり前の移植ゴテによる発掘ではなく、大きなエンピ(円匙)での発掘が主流になっている。遺構から出土する遺物のとりあげかたにしても、遺構覆土(遺構内の土)の層位ごとのサンプリングではなく、層位を無視したサンプリング(遺構一括などと呼ぶ)であることが多いため、どうしても調査の粗さが目につく。

これでいいわけはなく、調査方法をなんとかしなくてはという声もあがっているが、この点については、まだこれからの課題である。

そうしたなかでも、調査によってわかってきたことをまとめた本が何冊も出版されている。

ほとんどが、江戸遺跡調査の草分け的な方々の業績であるが、そのうち何冊かを紹介したい。

Book 江戸大名下屋敷を考える

著者:児玉 幸多
販売元:雄山閣
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これは東京都品川区立品川歴史館編集によるもので、萩藩毛利家屋敷跡、仙台藩伊達家品川下屋敷などの調査例を中心に、大名家における下屋敷の性格、これまでの発掘調査により確認されたこと、それらをもととする研究者たちのディスカッションにより構成されている。

江戸の大名屋敷の調査は盛んに行われ、情報は日増しに増しているが、大名屋敷そのものの数にも限度があり、緑地とされて残っていた区域の開発による調査例などが進み、すでに破壊されている部分もあることなどを考えると、そのうち調査するところがなくなるだろうともいわれている。

本書は下屋敷についてしぼったものだが、今後こうしたテーマを限定した研究書も後を追って出てくるのではなかろうか。

Book
甦る江戸
販売元   新人物往来社
定価(税込)    ¥ 2,243

これは江戸遺跡研究会がまとめたもので、江戸遺跡の調査がつぎつぎと行われるようになった頃に出版された本。大名屋敷から、墓地、出土した植物、動物、陶磁器類、オランダ渡来のクレイパイプまで、当時確認された多くの情報が盛られている。江戸遺跡を勉強するにあたっての、教科書的一冊である。

Book 江戸を掘る―近世都市考古学への招待

著者:古泉 弘
販売元:柏書房
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著者の古泉氏は、江戸遺跡調査の第一人者のひとり。本書は江戸のなりたちからさまざまな生活具、いまや江戸遺跡といえば地下室(ちかむろ)・穴蔵という遺構は抜きにして考えられないところだが、こうした遺構や江戸の災害(火事)にも触れ、さらには武家屋敷の調査が多いなかでも庶民の生活についても書かれている。前書と重複するところも多いが、これも江戸遺跡に関する代表書であろう。

図説江戸考古学研究事典 Book 図説江戸考古学研究事典

著者:江戸遺跡研究会
販売元:柏書房
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これは、江戸遺跡に関する考古学情報を一気にまとめたもの。いずれ新情報が加わって改定版が出るだろうが、高い本だけど、江戸遺跡の研究をするには、手元において置くべき本である。

昨今は江戸ブームであるそうだ。おかげで、江戸に関する本は日々出版されつづけている。とても全部読んでいられないし、いま手元にあるものだけでも、まだまだ沢山ある。

ああ、どうしよう。

というところで、(14)へつづく

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2007年7月 1日 (日)

ゆっくり、ゆっくり

おばあちゃんが、いぬを連れて、

ゆっくり、ゆっくり歩いている。

いぬの毛並みにつやはなく、首はたれて、足どりに力がない。

老犬なのだろう。一歩、一歩、ゆっくり歩く。

おばあちゃんといぬをつなぐリードは、どちらがひっぱることもなく、ふたりのあいだでだらんとたれさがっている。

いつもの時間のいつもの散歩。

ぼくともだいたい同じ時間にゆきちがう。

今日、おばあちゃんといぬは、そろってちょっととまって休んでいた。

ぼくが通りすぎようとすると、いぬと目があった。

いぬは、明るい目をしていた。口もとは、笑っていた。

幸せなのだ。

もうしっぽをふる力もでないけど、おばあちゃんとのつながりが、うれしくてたまらないのだ。

おばあちゃんと老犬は、そろいのペースで歩きだす。

ゆっくり、ゆっくり、一歩ずつ。

今日も、ふたりいっしょの幸せのときをきざんでいる。

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