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2007年12月15日 (土)

パグ絵・クリスマスを待つ

Christmaspug

「ぼく、まってるの」

「なにをだい?」

「まってるの」

「だから、なにを」

「……」

        ☆        ☆       ☆        ☆

もう何年もまえ。

父が最初の心臓手術を受けたのが、ちょうどクリスマス・イブだった。

手術は長時間にわたり、やっと終了となったときには、病院の外は夜の闇。

家族の待機所の窓からは、他の病棟の廊下や病室がみえるけど、そこももう消灯となっていた。そんななか、小児病棟のロビーだけが明るく照らし出されている。ひと気はなく、ただクリスマス・ツリーがあって、周囲には何時間か前までこどもたちが遊んでいたおもちゃが散乱している。

クリスマスでも、病院で過ごさなければならないこどもがいる。

この情景は、忘れてはならないものだと思った。

執刀医たちの説明をきいたあと、病院をあとにすることにした。

暗い廊下を出口に向かっていると、ところどころに小さな灯がついている。

そこは、公衆電話のある場所。

いくつめかの灯を通り過ぎようとしたとき、暗闇のなかで動くものがあった。

一瞬びっくりしたけど、それは、ひとだった。パジャマを着た若い女性。

ひっそりと電話をかけていたところだった。

小さな灯が彼女の顔だけを照らすと、その頬に涙がつたわっていた。しずくがひとつ、光ってみえた。

クリスマス・イブに、逢えないひとと、せめて電話で話をしていたのだろう。

この涙のひと光も、忘れられない情景となった。

周囲が光に満ちてにぎやかなほど、闇と静けさが心にしみる。

あの日から、クリスマスというと、ひととは反対のほうを向きたくなった。

へそまがりなのだろうか。

でも、明るく騒いでいるひとも、そう。

みんな、それぞれ、なにかを待っている。

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コメント

心臓の手術を・・・お父様も家族の皆さんも大変でしたね。
心配だったでしょう!
お父様は元気にしていらっしゃいますか?
私、33年3月生まれですので、きっと!芝田さんのご両親も
私の両親と同じくらいの歳なのではないかと?勝手に想像
しています。
私の父は3年前の10月に亡くなりましたが若いときから
酒の量の多い父で胆石と動脈瘤の手術で血が止まらなくて
結局、血管が弱くなっていたようですが、手術の為の検査入院も
していたので安心して手術の時はバスに乗り母が一緒に行くと言うのも断って1人で病院の玄関から入り、出る時は裏口からでした。その時に夜が白々と明ける朝の光景を思い出しました。
世界中、悲しむ人のいないクリスマスだといいのですが・・・

投稿: ひめちゃんママ | 2007年12月19日 (水) 01時16分

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